川を歩いて渡るとき、棒を杖がわりにすることがあります。足もとが滑らないように、しっかり棒を握って手放しません。棒のおかげで、流れに足をすくわれることなく無事に渡ることができます。ところが、向こう岸に渡った途端、棒を投げ捨てていきます。
川を渡るために助けてくれた「ありがたい」棒を、まるで要らないもののように放り投げていく。もし棒が人間だったら「恩知らず」と思うはずです。
今日のことわざ「コラ・タルヨ・ラウロ・ビルショ」は、だれかが恩を忘れたとき、もしくは恩を忘れてはいけないと戒めるとき使うものです。
コラ(Kola)は「川」、タルヨ(Taryo)は「渡った」、ラウロ(Lauro)は「杖や棒」、ビルショ(Birsyo)は「忘れた」という意味です。日本語で直訳風にいえば「川を渡ったら、棒を忘れた」になります。
たとえば、ある友人が困っていたので手助けをした。だが次に自分が困ったとき、その友人に助けを求めたが無視された。友人の身勝手な態度にすっかり失望してしまった・・・そのとき、このことわざを使います。
困ったときはお互い様ともいうように、人は互いに助け合って生きるもの。ことわざに描かれている、棒を投げ捨てる「身勝手な人」にならないように気をつけたいものです。
ネパール語のことわざ
「コラ タルヨ ラウロ ビルショ」(直訳:川を渡った、棒を忘れた)
ネパール語
Khola=川
Taryo=渡った(Tarnu=渡る)
Lauro=棒
Birsyo=忘れた(Birsanu=忘れる)