ネパールで「ガジュルをいれる」という比喩表現があります。
「ガジュルは、あなたがいれたね」とか「わたしにガジュルをおかせてよ」というフレーズが日常会話に登場します。表現のニュアンスは「(最後に)美味しいところをとる」です。
では、そもそも「ガジュル/Gajur」とはなにかといえば・・・寺院を建立したとき最後におくもの、それがガジュルです。ガジュルをおく(いれる)ことで寺院が完成します。
カトマンドゥでは、寺院にガジュルがなければ寺院とはいえないほど大事なもので(参考:あるはずのものがない珍しい寺院)、ガジュルをいれるときは儀式をします。
実際に会話のなかで「ガジュルをいれる」という表現を使うのは、たとえば次のような場面です。
ある仕事のプロジェクトをチーム体制ですすめていましたが、ひとりのメンバーは「サボりぐせ」のある人でした。ただ、その人は進捗状況を上司に報告することだけは積極的で、「現在ここまで進んでいます!もうすぐプロジェクトが完成します!」というように、まるで自分が懸命に仕事したように報告していました。その結果、その人の上司のウケがよくなった・・・このとき、他のメンバーがあきれて「あの人はガジュルをいれたね」というフレーズを使います。