腕時計をしている人がまだ少なかった昔、カトマンドゥで時間を報せてくれるのは時計台でした。街の中心部にひときわ目立つ大きな白い塔が、カトマンドゥの時計台(時計塔)です。
時計台のことをカトマンドゥの人びとは「ガンタガル」と親しみをこめて呼びます。ガンタ/Ghantaは「時間」、ガル/Gharは「家」という意味です。ちなみに愛称としてだけでなく、時計台がある辺りをガンタガルといいます。
私がこどもだった頃は毎時あるいはもっと頻繁に時計台の鐘が鳴っていました。カトマンドゥの街も現在と比べものにならないほど静かな時代です。時計台から歩いて1時間くらい遠くにいても鐘の音が聴こえました。
昔の人はあまり腕時計をしていませんでしたから、腕時計をしている人が通りかかると時間をたずねることもありました。
いまは通りすがりの人に、いま何時かきくこともありませんし、時計台の鐘の音で時間を意識することもありません。ですが、時計台は変わらずカトマンドゥの時を刻み、いまも近くに行けば鐘の音が聴こえます。
ネパール語
ガンタ/Ghanta=時間
ガル/Ghar=家