カトマンドゥ旧王宮の近くに「モル・ガネデョウ」と呼ばれる寺院があります。旧王宮の西側の一隅で目立たない佇まいです。大きくもなく派手な装飾もありませんが、昔からカトマンドゥでは親しみ深い寺院です。
モル・ガネデョウのモルとはネワール語で「ない」という意味があります。いったい、この寺院に「ない」ものとはなんでしょうか。
それは「ガジュル/Gajur」です。めずらしいことに、モル・ガネデョウには通常の寺院にあるはずのガジュルがないのです。
ガジュルとは寺院など伝統的な建造物の中央の部位で、ガジュルをおいてはじめて建造物が完成とされる重要なものです。
昔から火曜日にはモル・ガネデョウにお参りする人の行列ができるほどにぎわいます。もし私がカトマンドゥ旧王宮辺りを友だちと連れ立って歩いたとしたら「ちょっとお参りしていこうか」と、いまでも立ち寄ると思います。