カトマンドゥの露店がにぎわう様子は、見ているだけで楽しくなります。野菜や果物を手にして、売る人と買う人が活発にやりとりをしています。必要な分だけ量り売りしてくれるのですが、そのあいだも会話が途切れることがありません。
売られている野菜や果物は、形も大きさもいろいろ。日本のように、同じように揃った大きさを求めることは難しそうです。
このように、すべてが同じように(平等に)ならないとき使うネパールのことわざがあります。直訳すれば「5本の指は同じにならない」。手の指の長さがそれぞれちがうことにたとえたもの。
たとえばカトマンドゥの露店にミカンを買いに行ったら、こんなやりとりが。
売られているミカンは大きさもバラバラで、かなり小ぶりのものもある。そこで値段をまけてもらおうと、「大きさも不揃いで、これは高いですよ。かなり小さいミカンもいろいろあるから、安くしてくださいよ」と言った。すると、売る人は「大きさがちがうといっても、しかたがないし、どうしようもない。手の5本の指が同じにはならないように、同じ木に生ったミカンでも同じ大きさにはならないよ」と言い返した。
ミカンだけでなく、カトマンドゥではトマトにしてもじゃがいもにしてもサイズはいろいろです。きっと、大きさがちがうから安くしてくださいと言ったら、このことわざで返してくれるでしょう。ですが、大きさが不揃いでも新鮮な旬の野菜や果物はおいしいものです。
ネパール語のことわざ
「パンチュ アウラ タ バラバル フンダイナ」(直訳:5本の指は同じにならない)
Pancha=5
Aaula=指
Ta=は
Barabar=平等(同じ)
Hundainan=ならない