先週ティハール/Tiharの祭りが終わりました。もしもカトマンドゥに滞在していたら、週末は文字どおり「祭りのあとの寂しさ」を感じていたでしょう。
こどものときから私はティハール祭りが大好きでした。家々が光で飾られ、カトマンドゥ全体が美しく輝くのが、ほんとうにきれいでした。この輝きを昔からつくりだしているのが、パルチャ/Palchaという素焼きのオイルランプです。
パルチャは日本の小さな盃ほどの大きさで、縁が一か所だけ片口のようになっています。そこに油に浸したイタ/Ita(綿をより合わせて糸にしたもの)をもたらせるのです。イタを入れたパルチャに油を注いで灯をともすと、心まで明るく楽しくなります。
ティハールのときは、土でできたパルチャを皆がたくさん買い求めます。窓際などにパルチャを飾るように置き、油を注ぎ足して毎夕ともします。富と幸運の女神ラクシュミ/Laxmiを迎える儀式の日は「光の道」をパルチャでつくり、女神を招きます。
私がこどものとき、灯をともすのはパルチャだけでした。いつの頃からか小さなろうそくが登場しました。いまでは普通の家でもイルミネーションライトで飾るようになりました。ですが、パルチャのゆらめく灯の輝きは、かえがたい美しさがあります。時代が変わってもティハールではかならずパルチャをともします。